社員の再教育で会社を変える

 前世紀に米国の電信・電話インフラを築いたAT&Tはかつて、「未来を発明した企業」を名乗ることができた。だがいま、ダラスに本社を置く同社は、テクノロジー分野の多くの企業がそうであるように、長年注力してきた事業がどんどん時代遅れになる「未来」に直面している。そこでAT&Tは、業界がケーブルやハードウェアからインターネットやクラウドに移行する中、急速な自己改革に取り組んでいる。

 この「オーバーホール」(分解点検)には、人事面の大きな課題が伴う。

 同社の従業員は約28万人。そのほとんどがいまとは違う時代に教育を受け、また仕事上の基礎訓練を受けた。平均勤続年数は12年。コールセンターのスタッフを除けば22年になる。しかし同社は、新しい人材を大量に雇うのではなく、現有社員に迅速な再トレーニングを施し、絶えざる学習の文化をつくり出す道を選んだのである。筆者の一人(ドノバン)は、この取り組みを中心となって推進している。