製造現場を知る企業だからできる
東芝IoTの強み

 東芝は2年前に、IoT・AI関連先端技術の研究開発やサービス事業開発を推進する体制を確立し、企業のIoT活用を支援する仕組みを検討してきた。とくに日本の産業の競争力を強化するために、東芝の強みとグローバルパートナーの得意技術を組み合わせたIoTアーキテクチャー「SPINEX」を発表、提供を開始した。「SPINEX」の特長・強みは3つある。1つは、「デジタルツイン」。モノの特性を活かしたデータモデルをベースに、実世界をデジタル上に正確に再現する仕組みだ。

 2つ目は、「エッジコンピューティング」。「半導体技術、組み込みソフトウェアの技術を活かして設計した、自社製のIoTゲートウェイ機器も持っています。これによってすべてのデータをクラウドに送らなくても、データを取得した現場に近いところ(エッジ)で、素早い処理を行うことができます」(沖谷氏)

 そして3つ目が、「メディアインテリジェンス」。長年培ってきた画像認識や音声認識・合成技術とAI技術を融合した技術だ。音や画像を、人の意図や現場の状況を理解しながら認識し、必要な情報を音声などを利用して分かりやすく人に提示する。

 企業のIoT活用のハードルを引き下げるべく、IoTを始めるにあたって必要となる機能・サービスをパッケージングした「IoTスタンダードパック」も2016年7月から提供している。

「現場にIoTを導入する際に、初期投資で数千万~数億円のコストがかかるのでは、成功しなかった場合のリスクが大きい。そこで、月額制で小さく始められるIoTスタンダードパックを開発し、デバイスの接続から、データの収集、格納、見える化などのIoTに必要な一連の機能や、運用サービスまでをまとめて提供しています。シンプル&クイックスタートで、想定以上の成果が得られた場合はプロジェクトを拡大し、成果が得られないと判断すれば止めることもできます」と沖谷氏はそのメリットを説明する。

 IoTスタンダードパックは、契約締結から3ヵ月程度で導入可能で、2016年7月の提供開始から現在までに6件のプロジェクトが進行している。