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「インターネット上では
あなたが犬でも誰も気づかない」
1980年代後半、法律学教授のイアン・エアーズとピーター・シーゲルマンは、黒人と女性がはたして白人男性と同じ値段で新車を買えるかどうか、調査研究に着手した。2人は白人と黒人の男女38人を訓練し、全員に同じシナリオに沿って新車を購入させた。
調査の結果、ショッキングな格差が存在することが明らかになった。153カ所の販売店において、黒人と女性は同じ新車を買うのに白人男性より高い金額を払わされたのである。最も高い金額を払わされたのは黒人女性で、平均すると白人男性より900ドル近く高かった。ほとんどの人にとって、とりわけ黒人と女性にとって、この結果に驚きはなかったものの、市場がどれほど差別的になりうるかを有無を言わせぬ説得力で示した調査ではあった。
それから10数年の時を経たeコマースの黎明期。起業家たちは自動車を含めたあらゆるものをウェブ上で売ろうと実験を繰り返していた。経済学者のフィオナ・スコット・モートン、フロリアン・ゼッテルマイヤー、ジョージ・シルバ=リッソの3人はこの自動車販売の新方式を分析し、そこに人種差別と女性差別がないことを発見した。彼らは、オフラインの自動車販売にはそうした差別が根強く存在することも、明らかにしていた。