必要な投資と不必要なコストは
トップが一つひとつ判断する

 私が特に重視するのは、第4の行動様式「成長力を捻出するためにコストを削減する」です。成長するためには新しいことにチャレンジする必要がありますが、経験がないことだから失敗する可能性も高いでしょう。失敗が続いても新しいチャレンジを続けるためには、「もはや戦略をサポートしていない不要な投資」である無駄なコスト、悪いコストを徹底して削り、費用を捻出するしかありません。逆に、差別化するケイパビリティへの投資は苦しい時でも続けるべきです。必要な投資と不要なコストを一つひとつ判断し、将来の全体像を示すことで各部門を納得させられるのは、経営者しかいません。全社一律ではなく、ある意味で不平等なコスト削減を社員に強いるわけですから、第4の行動様式は第3と違って、みんなで話し合う性質のものではありません。トップダウンで進めるべきです。

 PwCはこの分野で大変多くの経験を有しており、結果の出せる具体的な活動としてクライアント企業に多数提供しています。しかし、それには成長のための痛みが伴い、未来への希望の光がないと実現も困難です。納得感をもって実施することが必要であり、その方針を示すのがはじめの「自社の独自性を貫く」なのです。

 そして、最後が第5「将来像を自ら作り出す」、つまり、自分たちが勝てる土俵を作るということです。これは、「言うは易く行うは難し」で、確信をもってやれるかとなるとなかなか難しいものです。第1〜4のステップを積み上げている強さがあってこそ、将来像を作ることができます。

 『STW』でも取り上げたアマゾンの創業者ジェフ・ベゾス氏は、次のように話しています。

 「『今後10年で何が変わるか』という質問はよく受けますが、『今後10年で変わらないものは何か』という質問を受けたことはほとんどありません。私が思うに、実際には2番目の質問のほうが重要です。なぜなら時を経ても変わらないものを柱にして事業戦略を立てることができるからです」

 自社の独自性を貫いた先に、将来も変わらないものが存在するか──。『STW』が、これを考える一つの契機になれば幸いです。

 

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