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ダイバーシティ施策は効果を上げているのか
金融業界を震撼させた複数の訴訟騒ぎが世間で注目されてから、企業はダイバーシティ(多様性)にいっそう配慮するようになった。1990年代末から2000年代初頭にかけて、モルガン・スタンレーは性差別訴訟の和解金として5400万ドル、スミスバーニーとメリルリンチはそれぞれ1億ドル以上も支払った。モルガン・スタンレーは2007年にまたも集団訴訟を起こされ、4600万ドルを失った。バンクオブアメリカ・メリルリンチは2013年、人種差別訴訟の和解金として1億6000万ドルを支払った。この15年間で、メリルリンチがこうした訴訟で支払った総額は5億ドル近くにも及ぶ。
このため、いまやウォールストリートの企業は、新規採用者にこの手の集団訴訟には加わらないとする仲裁協定へ署名するように要求している。また、研修その他のダイバーシティに関する取り組みも拡充してきた。
しかし結局のところ、金融機関であれ他の業種の組織であれ、平等化は進んでいない。米国の商業銀行のマネジャーに占めるヒスパニック系の比率は、2003年の4.7%から2014年の5.7%へと増加したが、白人女性の比率は39%から35%、黒人男性の比率は2.5%から2.3%へと減少した。