社内でリーダーを育成する難しさ

 重要な経営課題であるにもかかわらず、世界中の組織が十分な成果を上げられずにいるものが一つある。リーダーの育成である。コーポレート・エグゼクティブ・ボード(CEB)の調査によると、潜在能力の高い人材の発掘と育成に投資する企業は66%に上るが、それら企業の上級幹部のうち、施策が成功すると考える人は24%にすぎない。「社内でリーダーを育成できる」と自信を持つ人の比率はわずか13%であり、すでに低い水準にあった3年前の17%をさらに下回った。幹部級だけで数千人もいるような、世界有数の大企業について見ると、新任CEOの優に30%が社外から招聘されている。

 問題は社内の人材不足にあるのではない。エゴンゼンダーは、30年以上にわたってエグゼクティブの潜在能力の評価を通じて、経営トップへの成長余力(伸び代)を見極める4つの要因を特定した。

 第1の要因は、適切なモチベーションである。これは一般に、「組織全体の大目標の達成に向けて、優れた成果を上げよう」という強い想いや責任感を指すが、その意味するところは状況次第で大きく異なる。たとえば、大規模な慈善団体のリーダーと投資銀行のリーダーとでは、異なる種類のモチベーションが求められるだろう。