企業のトップに立つための
新たな選択肢

 ほとんどの野心的なリーダーが企業のトップに立つための道筋は、ある程度決まっている。大手企業でいわゆるCスイートと呼ばれる経営陣(CEO、COOなど)へと至る出世コースに乗るか、コンサルティングファームや投資会社でパートナーまで上り詰めるか、あるいはみずから事業を起こすかだ。

 ところが、この数年間で次第に定着しようとしているキャリアパスがもう一つある。それは既存企業を買収して経営者に収まるという道であり、我々はこれを「買収型起業」と呼んでいる。小規模企業のオンライン売買市場、ビズバイセルによると、2016年1月~9月期に米国で行われたこの種の買収取引は、記録的な件数に達しているという。

 筆者らは毎年、ハーバード・ビジネス・スクールでこの起業形態について講座を開いており、学生をはじめ多くが実際にこの手法で起業している。