先鞭をつけたのは
米国ニクソン大統領

 法律の専門用語だらけで素人にはほとんど意味のわからない、長々とした難解な文章。これが契約書の現状である。ビジネスで使われる契約書のほとんどは、長文で、適切に構成されておらず、理解不可能で不要な言葉で埋め尽くされている。

 こうしておくことに何か実用的な意味でもあるのだろうか。用語の定義を記載したページや、「これまでに」(heretofore)、「補償」(indemnification)、「保証」(warrant)、「不可抗力」(force majeure)といった単語、「本項と矛盾するいかなる定めにもかかわらず」「上記に従って」「~を含むが、それらに何ら限定されない」といった表現。これらは契約に効力を持たせるための必須事項なのだろうか。無駄に思える決まり文句に、実は意外な価値があるのだろうか。署名するに足る契約書をつくるために、同義語の中から15文字もの言葉を選んで、何ページにもわたる全部大文字・斜体・太字の文章、セミコロンが何度も続く気持ちの悪い文体、そして古めかしい文法で書くことが本当に必要なのだろうか。

 筆者に言わせれば、答えは断固としてノーである。