パーソナライゼーションが吉と出るか、凶と出るか

 インターネットのおかげで、現代のマーケターが利用できるツールは飛躍的に増えた。それは、デジタルデータという、シンプルだが変革をもたらす進歩によるところが大きい。ユーザーがオンライン上で日常的にパーソナルデータをさらけ出し、クッキー機能がクリックの一つひとつを追跡する昨今、マーケターは前例がないほどの消費者インサイトを手に入れ、個々人のニーズに合わせた解決策を提示できるようになった。その結果、目を見張る成果が出てきたのである。

 調査では、こうしたデジタル環境下でのターゲティングによって広告への反応に意義深い改善が見られることや、マーケターが消費者データをあまり利用しないと、広告効果が落ちることが示されてきた。だが、商品を売り込もうとオンラインで「監視」機能を使えば、消費者の反発を招くおそれがあることも実証されている。

 個々の属性や興味関心などをもとにその人に最適な広告を送る「パーソナライゼーション」の手法に対して、肯定的な結果が出ている調査もある。だが、人々は、自分のデータによって表示される広告が変わることに、ほとんど気づいていないことが多かった。