価格をめぐる企業と顧客の敵対関係

 これまで大多数の企業が利益を確保してきた方法は、いまや通用しなくなっている。いや、単に通用しないのではなく、その方法は有害ですらある。保険や金融サービス、通信から航空業界に至るまで、企業はプライシングを利用してあらゆる局面で顧客から金をしぼり取ろうとしている。

 たとえば航空会社がどのようにして価値を吸い取っているか見てみよう。顧客はいったん航空券を購入したら、その時からじわじわと財布の中身を吸い取られ続ける。

「もっとゆとりのある座席がほしい」「では料金をお支払いください」「手荷物を預けたい」「では料金を」「枕がほしい」「では料金を」「お腹が空いたので何か食べ物を」「では料金を」という具合に──。