スタートアップでキャリアを積むには

 ビジネススクールを卒業した時、筆者は2カ所から採用通知を受けた。一つはボストン コンサルティング グループで、MBAに進む前に働いていた職場である。若いプロフェッショナルで安定した実入りのよい職を探しているなら、誰もが選ぶであろう選択肢だ。もう一つは、ベンチャーキャピタルから初めての投資を受けたばかりの、シリーズAの段階にあるスタートアップだった。インターネットを安全な事業環境に変革しようとする、従業員数わずか30人の企業で、こちらを選ぶのははるかにリスクの高い賭けだった。筆者が就職先として選んだのは、この2つ目の企業である。そして、順調にキャリアを積んできた。

 それ以来、スタートアップ3社で働き、ベンチャーキャピタリストとしては100社を超える企業に投資してきた。

 その中で学んだのは、起業の仕方(資金調達の方法、最初の顧客の見つけ方、チームの採用方法)だけではない。スタートアップのジョイナー(joiner)となり、その企業を大きくし、成功させるには何が必要かについても、たくさんのことを学んできた。なお、ジョイナーとは、創設者とともに働いて、自分たちのアイデアを現実のビジネスとして実現する、2人目から2000人目までの従業員のことを指す。