男女の違いに関する根深い思い込み

 職場での女性の処遇をめぐる会話は、ここのところ盛り上がっており、経営幹部は男女問わず、ジェンダー・パリティ(男女均等)への熱い思いを語るようになっている。それはそれでいいのだが、重要な落とし穴が一つある。こうした議論や企業が行う取り組みの多くは、誤った考え方に基づいていることが多いのだ。誤った考え方とは、男と女は遺伝子や育ち方が根本的に違うというものである。

 もちろん生物学上の違いはある。だが、人々がふだん話しているのはそのような違いではない。そこで重視されるのは、女性はそもそも気質や態度、行動が男性とは違うという考え方である(「なぜ女性はオフィスで○○するのか」「働く女性は××しない」といった見出しを考えてみるとよい)

 女性が男性との均等を実現できないことの説明として、次のような違いがいわれる。女性は交渉が下手、自信がない、リスクを回避しすぎる、あるいはキャリアより家庭を大事にするので、必要とされる時間を働かない。同時に、別の違い(女性のほうが思いやりがある、協力的である、あるいはミッションを重んじる)は、企業が女性に投資する理由として使われる。だが、どちらにせよ、こうした考え方は女性の進歩を妨げる。こうした男女差に対する我々の確信が根底にある限り、本当の平等は実現しないだろう。