データ戦略の立ち遅れ
膨大な量のデータをいかに管理するかが、企業の成功にかつてないほど決定的な影響を与えるようになっている。データ管理部門やCDO(Chief Data Officer: 最高データ責任者)が設置されるようになったが、大半の企業は大きく遅れたままだ。
業界横断的な研究によると、企業が保有する構造化データのうち、意思決定に実際に活用されているものは平均して50%に満たない。そして非構造化データのうち、多少なりとも分析あるいは利用されているのはわずか1%未満である。また、従業員の70%以上がアクセスすべきではないデータへのアクセス権を持ち、アナリストの時間の80%がデータを見つけて整備することだけに費やされている。データ漏洩は日常茶飯事で、縦割り組織の中で筋の悪いデータセットが増殖している。そして、企業のデータテクノロジーに対する期待に、実態が追い付いていないことも多い。
CDOやデータ管理部門を置くことは出発点になるが、これらはどちらも、組織の情報資産の整理、ガバナンス、分析、展開のための一貫した戦略がなければ十分な効果を発揮できない。実際のところ、そうした戦略的マネジメントが欠けているために、多くの企業が自社のデータの保護や活用に苦戦中だ。そしてCDOの職務はしばしば過酷で、その任期は短い(ガートナーによると平均わずか2.4年)。