去る五月四日、国連の「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)は、地球温暖化を緩和させる対策について報告書をまとめた。それによると、温室効果ガスの排出への課税や排出量取引をはじめ、各業界の取り組みによって、二〇〇〇年には四三〇億トンだった排出量を、二〇三〇年時点で半減させることもけっして不可能ではないという。しかし産業界を見ると、まだまだ様子見や及び腰の企業が多い。その一方、ウォルマート、GE、ゴールドマン・サックス、キャタピラー、ファイザーなど、先見性と実行力を備えた企業は、温暖化による気候変動リスクに積極的に対処している。なぜなら、地球環境に無関心な企業は、顧客や投資家、さらには社会からも見限られ、「炭素削減社会」が本格化したあかつきにはこれまでの競争力を失うことになりかねないからである。