人間とAIは補完し合って
最大の成果を発揮する
人工知能(AI)は、病気の診断、言語の翻訳、顧客サービスの提供など、人間の仕事を数多くこなせるようになっており、その改善スピードも速い。これに伴い、いずれはあらゆる分野でAIが人間に取って代わるのではないかとの懸念も生まれている。
だが、それは避けられない結末ではないし、必ずしもそうなるとは限らない。デジタルツールがこれほど敏感に対応してくれる時代はかつてなかったが、一方で我々が自分たちの使うツールにこれほど敏感になった時代もない。誰がどのように仕事をするかという構図がAIによって激変するとしても、このテクノロジーの本領は、人間の能力に置き換わることではなく、人間の能力を補完し、強化することにある。
多くの企業が工程自動化のためにAIを使ってきたのは事実だが、ただ従業員の代わりに利用する企業は、短期的に生産性が上がるだけだろう。1500社を対象にした我々の調査によると、企業が最大のパフォーマンス改善を実現するのは、人間と機械が“協働”した時である(囲み「協働の価値」を参照)。