行動を起こす勇気
職場をプラスの方向へ変えようと勇気を持って戦ったスタッフが結果的に排斥され、時には失職さえするという話をよく聞く。しかし、私が研究の中で見聞きしたのは、もう少し意味合いの異なる話である。勇気ある行動のほとんどは内部通報者や組織の犠牲者によるものではなく、内部で尊敬を集める、さまざまな層の人たちによるものなのだ。
彼らはそれが正しいと思うから、リスクのある戦略の推進を訴え、不公正な方針の変更を迫り、非倫理的な振る舞いを非難する。評判や実績が伴っているので、組織の周縁や外側にいる人たちよりも成果を上げやすい。そして、事がうまく運んだ時は、必ずしも大きな代償を払うことはない。むしろプラスの変化を起こしたことで、ステータスが上がることもある。
ある小さな会社の財務マネジャーであるマーサ(仮名)の例を考えてみよう。彼女は長年、上司である社長からの際どい発言や性的なほのめかしに耐えていた。どう対処すればいいのかわからない。社長本人に話すべきか、それとも会社を辞めるべきか。同じ会社の他の女性たちを守るにはどうすればよいか。