ベンチャーキャピタル業界を対象に多様性の影響を調査

 マネジャーや学者が、多様性(ダイバーシティ)が組織やチームに与えるインパクトについて話題にする時、集団としての的確性や客観性、分析的思考、革新性への影響などに触れることが普通だ。財務成績という「より確かな」評価となると、研究者は多様性との因果関係を証明するのに苦労している。大企業の研究となるとなおさらである。それは意思決定権や誘因が曖昧であり、利益や市場シェアなどに関係する選択に、多様性がどう影響するかを把握することはほぼ不可能だからだ。

 そこで筆者らは、ベンチャーキャピタル(VC)業界に照準を絞って、多様性の影響を調べることにした。VCは理解を妨げるものが比較的少ないからである。

 VCの組織構造はとてもフラットで、主に運用責任者であるパートナーたちと、比較的少数の若手の専門家で編成されている。運用責任者一人ひとりが意思決定者であり、その選択がビジネスに及ぼす影響ははっきりしている。どのVCが何に投資したかがわかり、ほとんどの場合、その投資を導いたのは誰であるかも特定できる。なぜなら通常の場合、彼らは投資先の企業の取締役として名を連ねるからだ。