リーダーシップ開発が変わりつつある
リーダーシップ開発の必要性がかつてなく切迫している。変動性、不安定性、不確実性、複雑性が特徴の今日の環境で生き抜くためには、過去の成功を支えたものとは異なるリーダーシップスキルと組織的能力が必要だということを、いまやあらゆる種類の企業が理解している。またリーダーシップ開発の対象を、経営幹部やそれに近いポジションにいる一握りの人材に限定すべきではないという認識も高まっている。
コラボレーションによる問題解決プラットフォームや、個別イニシアティブを重視するデジタルな「アドホクラシー」(臨機応変の組織)の普及を背景として、社員全員に、自社の戦略・文化に沿った一貫性のある判断が求められるようになりつつある。したがって、全員に技術、人間関係、コミュニケーション面の妥当なスキルを身につけさせることが重要だ。
しかし、リーダーシップ開発の業界は混乱状態にある。企業経営者に必要な、ハードスキル、ソフトスキルの開発プログラムを提供するプレーヤーは急増した。それにもかかわらず、現在および未来の幹部の育成に毎年合わせて何十億ドルも支出している企業は、その成果に不満を募らせている。筆者らがクライアントに行った詳細なインタビューや、いくつかの大規模な業界研究では、上級リーダーの50%以上が、自社の人材開発の取り組みでは、重要なスキルや組織的能力を十分に構築できていないと考えている(囲み「従来の幹部教育の問題点」を参照)。