在庫管理は、物理的な商品を扱うすべての企業にとって、重要である。企業は過剰在庫を抱えるコストや、逆に在庫切れによる売上げの逸失を心配するだけでなく、消費者の心理も考慮しなければならない。

 たとえば在庫が多ければ、顧客の選択肢は広がり、人気商品というイメージを顧客に与えて、購買意欲を高められるかもしれない。しかし、目をつけている商品は後でも買えると思われてしまったら、他社商品を見て回って比較するようになるかもしれない。企業は十分な在庫を置く必要があるが、多すぎてもいけない。どうすればよいだろうか。

 ある研究チームが、30週にわたって、ゼネラルモーターズのディーラー1289店舗を調査した。悪天候でメーカーからディーラーへの配車に影響が出た期間のデータを精査したところ、ディーラーでの選択肢が増える新車が1台加わるたびに──たとえば、まだロット生産されていない新色モデルや2ドアモデルなど──売上げが増加していたことが明らかになった。逆に、すでにディーラーにある車種とまったく同一の車が1台増えるごとに、売上げが減少していた。