夢見たキャリアを手にしたものの……
約8年前、私は陳腐な人生を送っていることに気づいた。有名大学のテニュア(終身在職権)を持つ哲学教授という、夢見たキャリアを私は持っていた。大学院で研鑽を積み、書けなければ終わりだと思いながら必死で論文を仕上げ、発表し、重圧に耐えながらテニュアと昇格を目指すことで獲得したキャリアである。妻と子ども1人、そして住宅ローンを抱えていた。自分が好きなことを仕事にしていたが、それにもかかわらず、これから来る日も来る日も、毎年ずっと続けていくのだと考えると、耐えがたいと感じ始めたのだ。
私は執筆中の論文を仕上げ、それを発表し、また別の論文を書き始めるだろう。この学生たちを教え、やがて彼らは卒業し、去っていくだろう。そして、また新たな学生たちが入ってくる。私の前には暗いトンネルのようなキャリアが伸びていた。私は中年の危機にあった。
すぐに、それが自分だけではないことに気づいた。自分の苦境を友人たちに話すと、彼らは冗談めかしてではあるが、同じような燃え尽き症候群や停滞、成功と思われる状況の中での後悔について語ってくれた。読者もメンターや同僚から同じような話を聞いたことがあるかもしれない。自分自身が同じ苦境の中にあるかもしれない。最近の多数の研究が、概して中年期が人生で最も困難な時期であることを確証している。