メール分析から
顧客とのやり取りが見える
アスリートがパフォーマンスを改善したいと思ったら、まずは自分が録画された動画を何時間もかけて見直すだろう。ホワイトカラーの職場では、これほど視覚に訴えるフィードバックを得ることは難しい。しかし近年、研究者の間では、企業と社員の働きぶりをスローモーションで再生するデータが詰まった、唯一無二の情報源が調査されるようになってきた。その情報源とは会社のメールである。誰が誰と、どのような理由で、どんな方法で、どれくらいの頻度で会話したのか──こうした事実を教えてくれるのだ。
研究者たちはこの種の調査を「ソーシャルネットワーク分析」と呼んでいる。ソーシャルネットワーク分析は主に、社員が最も効率的に協働できる方法を見極めることを目的として、社内コミュニケーションを対象に行われてきた。
ところが最新の調査で、メール分析が従来とは違う目的に使われた。その目的とは、社員と顧客とのやり取りの状況を調査すること。企業は、顧客満足度に影響を与えるパターンと行動を把握し、その結果に基づいて社員により効果的なコミュニケーションを指導できるようになる。研究チームは、これを「仮想ミラーリング」と名づけた。というのは、社員が自分の顧客とのやり取りのスタイルを振り返って、他者のスタイルと比較できるようになるからである。