企業では、ビッグデータから判断を下すことが増えているのに、個人はそうではないと決め付けているケースは多い。人はアルゴリズムに警戒心を抱いていて、機械によるアドバイスにも人間味を求めている、と思い込んでいるのだ。2例だけを挙げるが、AIアシスタントのSiriやアレクサが、どれだけ擬人化されているかを考えてみてほしい。この「人はアルゴリズムを信頼しない」という説に疑義を呈した最近の調査で、これがほぼ誤りであることが明らかになった。
一連の6回の調査には、オンラインで1260人の被験者が参加し、ヒットソングのランキングから出会い系サイトで出会った相手同士の相性まで、いくつかのテーマで予測してもらった。その後、被験者は人間によるアドバイス、またはアルゴリズムによるアドバイスと言われたものを提供され、予測を修正する機会を与えられた。被験者たちは、アルゴリズムが出したというアドバイスを、より信頼したのである。
続いての実験では、国家安全保障の専門家と素人に、地政学的および、ビジネス上の出来事について予測をしてもらった。すると、アルゴリズムによるアドバイスを信頼したのは、素人の被験者グループだけだった。専門家グループは、どちらのアドバイスも軽視したが、後の分析によれば、的中率が素人グループより低かったという。