「#MeToo」で女性の立場は改善したのか
2017年秋に『ニューヨークタイムズ』を筆頭とするメディアが、エンタテインメント業界の大立者たちによるセクシュアルハラスメントや暴力行為が蔓延していたことを報道し始めた時、勇気付けられた人は多かった。問題が明るみに出て、問題を起こした人物を罰するという世間一般の通念が、そうした行為への抑止効果を発揮すると思われたからだ。
しかし、ヒューストン大学のマネジメント教授リアン・アトウォーターの反応は、それとは異なった。「『#MeToo』の反響の大半はよくやった、これが女性の立場向上につながる、というお祝いムードのものでした」と彼女は言う。ところが、アトウォーターとその研究チームの人々は懐疑的で、「みんなが思うほど素晴らしい結果にはならない、どこかでつまずくのではないかと言い合っていた」そうだ。
2018年の初めに、チームでは、自分たちの危惧に根拠があるかどうかという調査に取りかかり、男性用と女性用の2種類のアンケートを作成した。アンケートは幅広く各業界の従業員に配布され、合計で男性152人、女性303人から回答を得た。