CEOのパフォーマンスのパターンを把握する

『ハーバード・ビジネス・レビュー』誌の2019年「世界のベストCEO100」に登場する経営者たちの在任期間は、驚くほど長い。この栄誉ある地位の平均在任期間は15年と、S&P500企業の平均7.2年(2017年)の倍以上だ。

 在任中に素晴らしい価値を生み出した人たちばかりだが、しかし、ほかの大半のCEOたちと同様に、短期的には業績の落ち込みも経験している。これはつまり、取締役会が板挟みの局面に立たされることもある、ということだ。CEOが長期の問題に苦しんでいるのか、それとも短期的な落ち込みなのかをどう見分ければよいのか。そして現状にどう対処すべきなのか。CEOの輝かしい実績のために、かえって別の問題が生じる可能性もある。高い業績を達成しているリーダーの辞め時を、取締役会はどうやって知るのだろう。

 CEOの業績に長期的にどのような傾向が見られるかについては、データがほとんど存在しないので、CEO、取締役、投資家はその欠落部分を、逸話や仮定、経験則で埋めることが多い。たとえば、CEOたちに理想的な在任期間を尋ねると、7年くらいという答えが返ってくることが多い。取締役を対象とした調査では、9.5年を過ぎたら辞任すべきだという意見が多数を占める。彼らの間では、この程度の期間が経つと、たいてい業績が横ばいになるという見方が一般的なようだ。