グローバルインフラの要衝
冷戦の終結以降、企業は極めて強力なグローバルインフラを築いてきた。デジタルパイプラインは大量の資本やデータを世界中に移動させ、クモの巣のように張りめぐらされたサプライチェーンでの取引は国境を超える。複雑に入り組んだネットワークシステムによって世界経済はスムーズに回り続けるが、それはたいてい目に見えないため、当たり前のように思われやすい。
こうしたネットワークは冗長性が高く、広く分散しているように見えるが、その多くには重要なポイント、すなわち要衝(チョークポイント)がある。グローバル金融は、銀行間取引のほとんどを中継する、ベルギーの単一組織に依存している。また、クラウドコンピューティングの情報保管施設は、米国に置かれていることが多い。複雑なサプライチェーンは、アンドロイドシステム用デバイスのためにクアルコムがつくるチップのような、一握りの部材に依存していることがある。
これらの要衝のせいで、各国政府は一見中立的なインフラを操作して、自国の戦略目標をさらに推し進めることができる。中国の5Gへの進出は西側諸国の懸念を高めているが、それは新しい通信ネットワークの主要部分に、中国がアクセスできるようになるかもしれないからだ。