顧客データは競争上の強みとなるか
多くの企業幹部や投資家が、顧客データの力を活用すれば、どこにも負けない競争上の強みが手に入ると思い込んでいる。顧客の数が増えれば増えるほど収集データが増え、そのデータを機械学習ツールで分析すれば、よりよい商品が提供できるようになり、もっと多くの顧客が集まる。そうすればさらにデータが集まって、最終的にはライバルを駆逐できる──大規模なネットワーク効果を発揮するビジネスと同じように。
理屈ではそういうことになる。しかし、この想定は往々にして間違っている。多くの場合、人々はデータがもたらす強みをはなはだしく過大評価している。
通常のネットワーク効果が生み出す好循環では、提供物(たとえばソーシャルメディアのプラットフォーム)の利用者が増えるにつれて、その価値が高まり、やがて利用者数がクリティカルマスに達して、競合他社を締め出すことができる。データを活かす学習の好循環も、これと同じように見えるかもしれない。