イノベーションへの投資は
なぜ成果が出ないのか

 企業はイノベーション創出のために、ベンチャーキャピタルやインキュベーター、アクセラレーター、そしてシリコンバレーへの出張に数十億ドルを費やしてきた。ところが、マッキンゼー・アンド・カンパニーの調査によると、役員の94%は、自社のイノベーション実績に不満を抱いている。どの業界で調査をしても、結局得られるのは、同じような見解だ。

 企業は、どんなに金をかけても、自分たちが望むような効果を得られていないのだ。なぜか。それは、各社とも目に見えない、ある大きな障害に対処してこなかったからだ。それは、イノベーションを抑え付ける日々のルーチン業務と習慣的行為である。

 幸いなことに、この問題を取り除くことは可能である。筆者らは、行動心理学に関する学術論文と、東南アジア最大の銀行DBSなど、グローバル企業十数社と協力した経験を踏まえ、イノベーションの阻害要因となる悪しき習慣をやめ、イノベーションを促す新たな習慣を身につける実践的な方法を開発した。