企業文化を戦略的リソースとして活用する
企業文化は、成功を促す触媒になることもあれば、成功を蝕むこともある。にもかかわらず、企業文化の測定手法となる、従業員調査やアンケート調査には重大な欠陥がある。従業員の自己申告は当てにならないことが多いのだ。
たとえば、従業員が重視しているという価値観や信条は、往々にして実際の行動には反映されていない。そうした調査は、たえず変わり続けている組織において、静的な一瞬を切り取るスナップショットにしかならない。さらに、研究者は個別で独特な文化を、一般的な少数の類型に分類できると考える傾向があり、調査が限定されている。
筆者らは、企業や組織の文化を評価・測定する新しい手法に焦点を当て研究している。メール、スラックのメッセージ、グラスドアの企業レビューといった、オンラインコミュニケーションの至るところに存在する「デジタルの足跡」から、文化に関する発言をマイニングするため、ビッグデータ処理を行っている。そうしたコミュニケーションを通じて従業員が用いる言葉を分析することにより、文化が従業員の考え方や職場での行動に、いかに影響を与えているかを割り出すことができる。