ブライアン・ウィルソンは、片耳難聴、舞台恐怖症、精神疾患、薬物依存症を乗り越え、最初はザ・ビーチ・ボーイズのメンバー、その後はソロアーティストとして、1960年代の最も影響力のある楽曲を生み出し、プロデュースし、演奏した。寡黙なことで知られるウィルソンの新たな自伝が、2016年に刊行された[注1]

HBR(以下太字):あなたの楽曲は「革新的」と形容されてきました。その革新性はどこから来たものですか。

ウィルソン(以下略):私に初めてインスピレーションをくれたのは、ラジオで活躍したチャック・ベリー、ローズマリー・クルーニー、フォー・フレッシュメンといったアーティストたちです。また、フィル・スペクターなどのプロデューサーに刺激され、独創的なアルバムをつくりたいという気持ちが生まれました。ザ・ビートルズをはじめとするバンドにも影響を受けましたよ。他のバンドとの間には敵対心というよりも、互いに敬意を払い合うような関係性がありました。