職場における退屈は悪影響がある。それは十分に立証されてきた。たとえば退屈によって、従業員は間違いを引き起こしたり、規則を破ったり、勤務中にネットサーフィンをしたりしてしまう。しかし新しい調査では、よい面も見られたという。退屈した結果、人は次の仕事でより大きな創造性を発揮するというのだ。
調査では101人の学部学生を募集し、30分間、色覚の作業をするように伝えた。半数の学生には、ボウルに入ったビーンズを一つずつ、片手だけを使って色別に分けるように指示した。この条件は単調さを最大にするためである。対照群である残りの半数には、アート作品の制作を依頼した。その後全員に、会議に遅れる時の言いわけをリストアップするという、アイデア出しの作業を与えた。
退屈な作業をしたグループの学生は、平均して、対照群よりも多くのアイデアを出した。その後の実験で製品開発の作業を取り入れると、この効果はすべてに当てはまるものではないことがわかった。被験者のうち、以前から拡散的思考(情報をもとにさまざまな方向に考えをめぐらせ、まだ存在しないアイデアを生み出す思考方法)の傾向があった被験者(経験に対する開かれた態度、および学習目標に向けた姿勢などの資質で測定)だけが、退屈を糧に、創造性の高いアイデアを出したのだった。