動物行動学の研究者は「配偶者防衛」に詳しい。配偶者防衛とは、1匹の動物が別の1匹と2匹だけのロマンチックな関係を続けようと、ライバルの割り込みをじゃまして、恋の相手が自分から離れて他者に走るのを止めようとすることである。このほど行われた調査で、優秀な部下の転職を食い止めるため、上司たちも同じような行動を取ることが明らかになった。
マネジャーたちは、部下に転職を考えさせないように、どの程度の頻度で一定の策を講じているのか。研究者たちが一連の調査で尋ねると、そうした策は「大事にする」と「説得する」の2つに分けられた。「大事にする」グループには、親切に接する、仕事をほめる、特に力を貸す、などがあり、「説得する」には競合他社のマネジメントを悪く言う、転職を考えているかを尋ねる、長期プロジェクトに配属する、報奨や特別扱いを申し出る、などがある。そして、マネジャーの70%以上が、これらの行為の1つ以上を行っていることがわかった。
追跡調査では、フォーチュン100企業に勤務する253組のマネジャーと部下のペアを選び、転職への危惧から直属の部下にどのように接したかを見た。