すべての顧客が平等に大切というわけではない。特にB2B分野では、多くの企業に、その売上げのシェアが不釣り合いに大きい少数の重要顧客がいるものだ。そして営業チームは、そうした顧客に重点的に取り組む。
一握りの上得意客を抱える利点はあるだろう。アプローチの効率がよく(比較的少ない営業担当者で済み、確実性も高い)、再注文が途切れなく続いてキャッシュフローは安定するし、大切な顧客から頼りにされているのは、信頼の証だ。しかし、少数の顧客にのみ頼るのはリスクもあるし(一社が離れていったらどうなるだろう)、大口の買い手はその地位を利用して有利な価格を求めてきて、収益性は損なわれるかもしれない。
新たな調査では、こうした状態が設立間もない企業に及ぼす影響を検討している。研究者たちは、2000年から2011年の間に株式を公開した、1023社の財務記録を調べた。そこから各社の大型顧客への依存度合い、各社の技術的能力(申請した特許数で測定)、オペレーションの能力(社員数、設備投資、その他で測定)、収益性を明らかにし、同時に主要な顧客の信用度を調査した。次に、各社のIPO(新規株式公開)と数年後の業績を見た。