スタートアップの成功パターンは
シリコンバレー以外にも存在する
高成長を遂げる技術系スタートアップは、ここ数十年のビジネスの奇跡である。いわゆるユニコーン企業(ベンチャーの支援を受けた、企業価値10億ドル以上の非上場テクノロジー企業)は、我々の生活のあり方、ビジネスの方法を変えた。パロアルト、ロンドン、テルアビブなど、資本や人材が豊富な都市に集中しているユニコーン企業は、世界中の起業家や企業経営者のインスピレーションの源泉である。そのほとんどは、同じ戦術に従っているように見える。つまり、既存業界を「破壊する」計画をまず練り、資本を注入してできるだけ速く成長し、素早い市場支配を目指して高いリスクを許容するのだ。
しかし、成功するスタートアップを立ち上げる方法は、それだけではない。筆者はベンチャーキャピタリストとしてこの10年間、イノベーションのホットスポットから遠く離れた、思いも寄らぬ場所の高成長技術系企業と仕事をしてきた。
先進国の企業もあるが(カナダのウィニペグや米国のプロボなど)、多くは新興国にある(インドネシアのジャカルタ、ナイジェリアのラゴス、ケニアのナイロビ、メキシコのグアダラハラ、ブラジルのサンパウロなど)。技術ハブ以外の場所にいる起業家は、シリコンバレーで好まれるのとは違うアプローチを取って、並外れた成功を収めている。