開拓者たちに共通する行動
過去20年間を見ると、前例のないほど多くの新しいグローバル市場が誕生してきた。クラウドサービスや倉庫用ロボティクス、スマートフォンなどのテクノロジーが業界全体を再定義し、古い事業分類は時代遅れになってしまった。商用ドローンや自律型トラックから、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)、植物由来の代替肉まで、続々と登場してくるイノベーションは、市場創造の時代が近い将来も続くであろうことを示唆する。
戦略的な観点では、新規市場はSFに登場するワームホール(時空を超えて移動できるトンネル)のようなもので、従来の時間や空間の法則が当てはまらない。新規市場では、一般的に企業戦略を規定する論点、すなわちどこで戦い、どのように勝つかについて簡単な解はない。何百万ドルも投資する大企業が、気づけば生意気なスタートアップの後塵を拝していることもある。今日の勝者は明日の敗者かもしれない。
たとえば、ペイパルはいまやオンライン決済の明白なリーダーだが、最初の数年、同市場における最大のライバルはビルポイントと呼ばれる企業だった。23アンドミーは当初、パーソナルゲノミクスで先行したが、最終的に誰がその市場を制するかはまだ定かでない。