デリバティブ取引や金融工学などは、金融機関だけのツールと考えられている。しかし、金融工学の権威であるロバート・マートンは、事業会社や政府機関などもこれらを活用すれば、大きな恩恵にあずかれるという。たとえば、リスクの視点から事業や資産を再認識すれば、選択と集中、経営資源の最適配分、自己資本の有効活用などの戦術が見えてくる。ここにデリバティブを組み入れることで、無用なリスクを排除し、資本コスト以上の価値を創造できる事業に注力し、成功確率が高まる。本稿では、「付加価値リスク」と「パッシブ・リスク」の説明を出発点に、金利スワップ、クレジッ・デフォルト・スワップ、株式指数スワップなどのデリバティブを利用したマネジメント・ソリューションを提示する。