ユナイテッド航空の失敗

 2008年にユナイテッド航空を利用した歌手のデイブ・キャロルは、荷物係に3500ドルのギターを壊され、その後数カ月にわたり弁償を求め続けたが無駄だった。そこで彼は、この出来事に関するミュージックビデオをつくり、ユーチューブに投稿した。

「ユナイテッドはギターを壊す」というタイトルのその動画は、1日も経たないうちに15万回再生され、同社に救済措置を講じるよう促すこととなった。しかし、ユナイテッド航空の評判はすでに大きく傷付いていた。動画は3日間で150万回再生され、多くの人が「いいね」やシェアをし、投稿者の不満に共感を寄せた。同社の株価は暴落し、広報活動の失敗が一因との見方が大勢を占めた。

 フランスのケッジ・ビジネススクールの准教授でマーケティングを専門とするデニス・ヘルハウゼンにとって、この事件やその他の似たような出来事は、デジタル資産に関する同僚との共同研究に新たな視点をもたらすものであった。