従業員体験の向上施策には
13%しか満足していない

 これまで10年にわたり経済成長と歴史的な低失業率の時期が続いたが、いまや組織は、みずからがはるかに厳しい世界に置かれていることを自覚している。

 だが賢明なマネジャーは、人員削減や著しい緊縮施策を迫られる中でも、将来を見据える視点を失ってはならない。リセッション(景気後退)はいつか終わりを迎え、そうなれば再び多くの業界の企業が従業員の幸福度の維持を優先する環境に戻るのだ。

 これは難しい課題かもしれない。リサーチ・アンド・アドバイザリー企業のガートナーが実施した世界規模の研究によると、2019年に企業が従業員体験(Employee Experience: EX)の向上に費やした金額は、従業員1人当たり平均2420ドルである。典型的な取り組みとしては、柔軟な就業方針の導入、職場の再設計、学習・能力開発の機会の提供などが挙げられる。