アジャイルチームを
増やすだけでは足りない
ブライアン・ジョンソンは大手消費財メーカーのCEOとして、10年以上にわたって目覚ましい成功を収めてきた。歴代のCEOと同様、オペレーションの全側面をしっかりと管理し、優れた品質の製品およびサービスと、見事に調整されたサプライチェーンを誇りとしている。同社は規模の経済を活かし、業界きっての低コストを実現している。
しかし、1年半前に筆者らと初めて話をした時は、これらの経営上の資産が負債となりかねないことを懸念していた。「当社の事業のほぼすべてのセグメントにおいて、特定分野に特化した競合企業が出現しています」と、ジョンソンは語った(本稿では守秘義務により、彼の名前およびその他の細部に変更を加えている)。「いずれも小規模な企業ですが、ピラニアのように食い付いてきます」
こうした新規参入企業は、販売店にとって好ましい製品やサービスを市場に投入していた。返品方針は寛大で、顧客はそれらを試してみる気になった。タイトな時間枠で迅速に納品されるため、販売店は倉庫保管費と在庫水準を低減できたのである。ジョンソンの会社はこの圧力にうまく対処できず、特にイノベーションのために、堅固な組織のサイロを打破して、組織横断で協働する必要がある場合には、いっそう苦戦を強いられた。