IT部門に求められる、両極の視点

 こうした変革に伴い、IT部門が担う役割も当然ながら変化する。従来なら、どのようなパートナーとどう組むかという戦略を描くのはビジネス部門の役割であり、IT部門の役割は、あくまでその要件を確認してプログラムとして形にすることだった。しかし、自社のプロダクトとしてAPIを広く公開し、その後のマネジメントをコントロールしようとすれば、自ら生み出したプロダクトが、どう世界に広がり、どう社会を変えていくか、という大きな夢を描く力を持つことがIT部門に求められるようになる。

 つまり、ビジネス要件を理解し開発もできる、ビジネスとテクノロジーの双方のロジックを高度に理解できる人材(デロイト トーマツでは、このような人材を“Purple People〔=「ビジネス:Red」×「テクノロジー:Blue」〕”と呼ぶ)がより求められるようになるのだ。長期の視点でITアーキテクチャの未来像を描きつつ、足元ではAPIのライフスタイルを回し続ける。まさにズームアウト(長期)と、ズームイン(短期)の両極を往復しながら、ビジネス全体をデザインできる人材が必要になる。

 長期の視点に立てば、企業や業界の壁がますます取り払われ、横へ横へと広がり、今まで接点のなかった組織やプレーヤーがつながり合っていく流れは止めようがない。そんな中、企業は従来の安全性と効率性を追求した閉鎖的なITシステムではなく、幅広いプレーヤーがオープンにつながり合うデジタルプラットフォームの構築を進めていく必要がある。そのためには、レガシーシステムのモダナイゼーションを前提としたITアーキテクチャの再構築は必要不可欠であり、そこで最も重要な鍵を握るのがAPIマネジメントなのである。