フィッシング詐欺の被害は甚大
この10年間、ライアン・ライトとマシュー・ジェンセンは、数千の人々をフィッシングしてきた。彼らは当面、止めるつもりはないようだ。
この2人は、価値あるデータや金銭を狙うハッカーではない。世界中の企業や政府機関、大学と協力し、人々がいともたやすくフィッシング詐欺に引っかかる理由と、この脅威を緩和するために組織ができることを解明しようとしている研究者である。ライトは、バージニア大学マッキンタイアスクール・オブ・コマースの教授、そしてジェンセンは、オクラホマ大学の理事兼経営情報システム准教授を務めている。
フィッシング詐欺は情報漏洩全体の9割を占め、企業のセキュリティ部門は従業員教育に労を惜しまない構えだが、それにもかかわらず、詐欺メールの3割が開封されると見積もられる。フィッシングによる被害は、平均380万ドルという見過ごせない額だ。パンデミックによる混乱や在宅勤務(気を散らすものの多い環境で、従業員の警戒心が緩む可能性がある)の急増をサイバー犯罪者が利用すれば、この額はさらに増加することになる。