遠隔地への赴任に対する不安
ビル・ワイズマンは途方に暮れていた。マッキンゼー・アンド・カンパニーのシアトルオフィスに2年間勤務していたが、妻が沖縄で仕事を得たので、米国を拠点とするコンサルタントとして仕事を続けるか、韓国オフィスで空席になったばかりのエンゲージメントマネジャーのポジションを取るかの選択を迫られていたのだ。昇進への意欲は強いし、妻の近くにいたいとも思ったが、韓国文化と韓国語の知識はほとんどなく、アジア地域に異動することで、自分の経歴に不利になるのではないかという心配もあった。
プロフェッショナルの多くは、このような選択がいかに難しいかわかるはずだ。というのも、自分自身が同じような状況に直面したことがあるからだ。
この数カ月は、新型コロナウイルス危機で渡航制限措置が敷かれた状況にあるが、現在のようにグローバル化された経済下でキャリアアップを望むマネジャーや知識労働者にとって、国や地域間の異動は不可欠なものとなっている。この傾向は特に多国籍企業に顕著で、逆戻りする可能性は少ない。