倫理的な問いに正解はあるか
自動運転車が道路を占領するようになる日は遠くない。この新技術は、ドライバーのミスを削減することによって人命を救うが、それでも事故は起こるだろう。
こうした車のコンピュータは困難な判断を下さなければならない。衝突が避けられない場合、乗員1人の命を救うべきか、5人の歩行者を救うべきか。年長者を優先すべきか、若者の命を優先すべきか。妊娠中の女性だったらどうだろう。その人を2人と数えるべきか。自動車メーカーはこのような難しい問いを事前に認識し、それに対応するように自動車をプログラムする必要がある。
このような倫理的な問いへの答えを出すリーダーたちは、社会に最大の価値を創造するという目標を指針とすべきだと筆者は考える。この考え方は、ジェレミー・ベンサム、ジョン・スチュアート・ミル、ピーター・シンガーなどの哲学者の研究に基づいており、単純な一連の倫理的ルール(たとえば「嘘をつかない」「ごまさかない」など)を越えて、多様で重要な経営上の意思決定を行うのに必要な明晰さを提供する。