研究者と実務家は、仮説指向計画法やデザイン思考など、起業家の意思決定の指針となる多様な枠組みを構築してきた。新たな研究は、これまでの科学的手法を適用すると成功確率を高められるかどうかに注目している。
研究者たちは、イタリアでアーリーステージにあるスタートアップ116社の創業者を、10セッションから成る研修プログラムに参加させた。全員に対して、市場から初期のフィードバックを得ること、ビジネスモデルあるいは商品を評価するために実験すること、必要に応じて修正を加えることなど、同一の一般的な指示を与えた。
参加者の半数は、リサーチサイエンティストのやり方を適用してこれらの活動を進めるように促された。すなわち、問題のフレーミングと特定および立証を行うこと、明確な仮説を立ててデータと実験で検証すること、そして仮説を検証するために信頼できる評価指標を打ち立てることである。残りの半分は直感と経験則に基づいて進めた。
研究者たちがその後数カ月間にわたり、パフォーマンスをモニターしたところ、厳格な科学的手法の適用を促された設立者が率いるスタートアップは、それ以外の企業よりも顧客を獲得、あるいは活性化する可能性が高く、売上げも大きいことがわかった。
またそうした企業は、新しいアイデアに切り替える、あるいは事業を全面的に放棄する確率も高かった。ここからこのアプローチは、不毛なプロジェクトを追う確率を減らす可能性があることが示される。
科学的手法を用いた起業家たちは、「市場の兆候を分析する際にバイアスをよりうまく緩和して(中略)、良くも悪くも解釈を間違える可能性を削減」することができた、と研究者たちは記している。
研究について:
“A Scientific Approach to Entrepreneurial Decision Making: Evidence from a Randomized Control Trial,” by Arnaldo Camuffo et al (Management Science, 2020)
スコフィールド素子/訳
(HBR 2020年7-8月号より、DHBR 2021年2月号より)
Entrepreneurs Should Use the Scientific Method
(C)2020 Harvard Business School Publishing Corporation.
ILLUSTRATION: Tim Bower
