最近では『ムーンライト』や『ブラックパンサー』などの作品が成功しているが、映画界におけるマイノリティの進出度が低いことは、なかなか解決できない問題として残っている。

 業界のリーダーたちは、その理由の一部は観客、特に収益性が高い外国の観客は白人だけのキャストを好むからだと発言している。これは、いわゆる消費者による差別という理論の一種である。新たな研究は、この説明に疑問を投げかけている。

 研究者たちは、米国で2011年から2016年の間に封切られた、長編作品925本の人種構成と興行成績を分析した。

 製作費、宣伝広告費、季節性、公開期間、質(米国の映画評論サイト、ロッテン・トマトの点数に基づく)、ジャンル、出演者の集客力を含む要素を調整すると、黒人、ヒスパニック、アジア系の俳優の出演により、興行成績が損なわれることを示す証拠は、国内でも国外でも見つからなかった。実は複数の黒人俳優が出演している映画は、黒人俳優が1人あるいはゼロの作品よりもはるかに高い国内売上げを達成していた。

 研究者たちは、多くの消費者と従業員との間の接触(たとえば銀行など)とは異なり、俳優と観客の接触は間接的であることを指摘して、他の産業においてマイノリティの進出率が低いのは、消費者による差別で説明できるかどうかを判断するには、さらなる研究が必要であると語る。

 しかしながらこの研究の結果は、「文化的事例における不平等な雇用を説明する論拠の一つは、信頼できないと結論付けるのに役立つ」と記している。「(研究結果は)消費者による差別という理論には、重要なただし書きをつけるべきであることも示唆している。すなわち、従業員の人種が目で見てわかっても、消費者は物理的に遠いところにいる場合、ダイバーシティはコスト高になるのではなく、収益性を高める」


研究について:
“Testing the Theory of Consumer Discrimination as an Explanation for the Lack of Minority Hiring in Hollywood Films,” by Venkat Kuppuswamy and Peter Younkin (Management Science, 2020)

スコフィールド素子/訳
(HBR 2020年7-8月号より、DHBR 2021年2月号より)
Are Consumers Really to Blame for Hollywood’s Diversity Problem?
(C)2020 Harvard Business School Publishing Corporation.

ILLUSTRATION: Tim Bower