職場での人種差別は
解決できる問題である

 職場での人種差別は解決が難しい問題に思えるが、正しい情報、インセンティブ、投資によって効果的に対応できる。企業のリーダーは、世界を変えることはできなくても「周辺世界」は変えられる。

 組織というのは比較的小さな自律的集団であり、リーダーはそこで文化規範や手続き規則を、かなりの程度コントロールできる。そのため組織は、人種的公正を促す方針や実践を進めるのに、理想的な場所となる。本稿では、その目標へ向けて大きく持続的に前進するための実用的なロードマップを提供する。

 筆者は学者生活の多くをダイバーシティやリーダーシップ、社会正義の研究に費やしてきた。そして長年、多くのフォーチュン500企業、連邦機関、非営利組織、地方自治体とこれらのテーマに取り組んできた。多くの場合、これらの組織が筆者に声をかけるのは、危機的で困った状態に陥っているからだ。要は痛みを手っ取り早く止めたいのだ。しかしそれは、患者の根本的な健康状態を理解しないまま、処方箋をとにかく書いてほしいと医師に頼むようなものだ。