交渉中に一方が、これが「自分にできる最善」の申し出だと宣言することがある。本当はどうであれ、多くの場合、相手方は交渉を止めてその条件を飲むか、あるいは決裂することになる。新たな研究では、正しい枠組みで考えることにより、最後通牒を突き付けられても交渉を継続し、結果的によりよい取引を成立させることができるという。

 6つの研究を通して、「選択マインドセット」を持つように教えられた者は(たとえば、前日に行った選択を思い出したり、自分とその交渉相手が持っている選択肢を考えたりすることによって)、他の者よりも最後通牒を無視して交渉を続ける確率が高かった。

 被験者が採用責任者と給与および福利厚生について話し合う求職者を演じた時も、携帯電話の契約を最善の価格とサービスで結ぼうとする見込み客を演じた時も、中古車を購入しようとする顧客を演じた時も、結果は同じであった。