この数年、レストランや銀行、空港でロボットの「ペッパー」が接客する姿が見られる。企業は人と人との接触を最小化しようとしており、このような事例はほかにも増えるだろう。こうした試みにおいて、人間によく似たロボットを送り出すことは、多くの場合、絶対とも考えられる。しかし、新しい研究によると、あまりにも人間に似ていると恐怖心が引き起こされることがあり、その結果、客の行動が変化する可能性がある。
ある実験で、予約の際に人間の医療助手、またはヒト型ロボットが対応する様子を描いた動画を被検者に見せた。被験者はその後、有名ブランド、あるいはノーブランドのボトル入り飲料水を購入することができた。すると、ロボットが対応する動画を見た被検者は、その他の者よりも有名ブランドを選ぶ確率が4倍も高かった。他の実験では、食べ放題のレストランにいる想定で、被験者に人間、またはロボットが給仕する画像を見せると、給仕がロボットの場合に、被験者はより多くの食べ物を欲した。また、軽食を配られた被験者は、それをロボットが準備するところを見た場合に、より多く食べた。
これらのことが起こったのは、「不気味の谷」という現象によると研究者たちは述べる。ロボットは人間に似ているほど魅力を増すが、ある点を過ぎると類似性が不気味に感じられ、我々のアイデンティティを脅かすようになる。そうすると、人々は不安から逃れようとして力の象徴(有名ブランド品)を購入したり、暴飲暴食したりするのだという。