DXを成功させるには、テクノロジーだけではなく
リーダーシップも重要
SaaSを導入して得られる最大のメリットは、AIのような最新テクノロジーをタイムリーに取り入れることができる点だ。さらにオラクルとしても導入企業に使い続けてもらうために、四半期に一度のメジャーアップデートを実施しており、常に最新機能を使えるようにもしている。導入企業は改修にわずらわされることなく、ビジネスに集中することができる。
最新テクノロジーの活用に加えて、DXの成功要因はもう一つある。それはDXを進める人たちのリーダーシップだ。「リーダー自身が自分の頭で考え、最後までやり抜くことが不可欠」と湊氏は訴える。というのも、DXとは何かのツールを導入すれば終わるものではなく、継続的な取り組みになるからだ。オラクルの提案は「Streamline」「Empower」「Delight」「Automate」の4ステップで進めることだ(図4)。

図4:継続的に進めるDXの進め方
手続きの簡素化には何が効果的かを考えるのが「Streamline」である。経費精算業務の例で見ると、社員は毎月専用のシステムにログインし、かかった交通費を入力したり、領収書を添付したりしないといけない。この手続きをもっと簡単にしよう。領収書はカメラでスキャンしてチャットボットに送ればいいだけ。裏側ではAIがカレンダーを確認し、自動的に業務上の会食だと判断して手続きを進める。そんな仕組みが作れないか。これが「Empower」のプランに相当する。実際に試作版を開発し、みんなに使ってもらって喜んでもらう「Delight」、自動化の「Automate」を進め、また「Streamline」に戻る。
この例が示すのは、DXのゴールがUX(User Experience)の向上であるということだ。ここでのユーザーとは顧客でもあり、社員でもある。先の経費精算の手続きの簡素化は社員に喜んでもらう例であるが、顧客に喜んでもらうための簡素化もある。顧客の視点に立ったとき、面倒でストレスを感じる手続きは案外多いものだ。手がかりを見つけたら、始められるところから始め、トライアル&エラーを繰り返しながら、変革の4ステップを試してみる。SaaSはDXリーダーの背中を押してくれるはずだ。