実労働時間を可視化することで、施策の立案・検証がしやすくなった
荻島 第二領域に使う時間を確保するためには、労働時間の中で何の仕事をどのくらいしたかを可視化することが大事です。御社ではスケジューラーに社員のみなさんが予定を書き込み、社内で共有されていますね。
竹内 2019年からは「TeamSpirit」も活用し、事業所外でのみなし労働時間制を廃止するなど、各自の勤務時間の可視化を進めています。
おっしゃるとおり、どの時間に何をしたかを可視化することは非常に重要です。スケジューラーに各自が予定を書き込んだうえで、実際にした仕事を実績として上書きし、社内でオープンにしています。スケジューラーはあくまで予定管理ツールでしかないので、TeamSpiritと組み合わせて活用することで、各自の仕事内容を可視化しています。一部の部署では、TeamSpiritで工程管理や業務分析も行っています。
荻島 特定の業務工程に必要な基準時間や人員数がわかるようにするなど、分析機能はさらに強化していく予定です。目標管理については、どのように行っていらっしゃいますか。
竹内 そこはてこ入れしました。目標管理シートに個人が最大5つの課題とそれを解決するためのアクションを書き込んでいましたが、経営目標と個人の課題意識がうまくつながっていないという問題がありました。
そこで、会社としてのKPI(重要業績評価指標)と連動した個人のKPIを設定する目標管理方法に変えました。
荻島 TeamSpiritでまさに強化しようとしているのも、組織としての目標と個人の目標をリンクさせ、個人の行動変革を促していくことです。

代表取締役社長
荻島浩司氏
具体的には、グーグルなどが導入していることで知られる目標管理法であるOKR(Objectives and Key Results、目標と主要な結果)を応用して、会社・部門・チーム・個人というそれぞれの階層の目標と行動をTeamSpiritで一元管理できるようにしたいと考えています。

勤怠管理・工数管理・経費精算などを一元化したTeamSpiritでは、社員別の実労働時間やチーム別の工数実績といった集計・分析結果を簡単に可視化できる
カレンダーベースのプランナーを開くと、スケジュールとタスクが表示され、一つひとつのタスクが設定した目標とどう結びついているのか、あるいは目標達成と関係のないものなのかがひと目でわかり、目標達成に費やした時間を簡単に集計することもできる。そうすれば、一人ひとりが目標と行動を結びつけることができますし、マネージャーも適切なフィードバックができるようになります。
御社で勤務時間を可視化したことのメリットについて、改めてうかがえますか。
竹内 工場以外のすべての事業所でTeamSpiritを導入していますが、年間の実労働時間を把握、可視化できるようになったことで施策を打ちやすくなりましたし、打った施策の効果を測定できるのが何といっても大きいですね。
また、出社しているか、在宅かがわかる機能も役立っています。これらの機能のおかげで、テレワーク勤務やフルフレックスタイム制も円滑に運用できています。
荻島 働き方改革において、ただ勤務時間を減らすだけではなく、俯瞰的に働き方を捉えて、ツールをうまく活用しながら改革を進めていらっしゃる点が先進的ですね。御社のような大企業で、SaaS型のシステムを導入することへの抵抗はありませんでしたか。
竹内 基幹システムの全面刷新の時期と、うまくタイミングが合ったのがよかったと思います。当社にも、いわゆる「2025年の崖」問題があり、従来のレガシーシステムはつぎはぎだらけで、デジタル変革に対応できるものではありませんでした。
そこで、業務プロセス改革と基幹システムの刷新を並行して進め、新しいシステムはクラウドベースで運用しています。ですから、SaaS型のTeamSpiritを導入することに抵抗はありませんでしたね。
荻島 もともとTeamSpiritは主に中小企業のユーザーを対象に、勤怠管理・工数管理・経費精算などを一元化したクラウドサービスとして開発したもので、大企業向け製品は御社がファーストカスタマーです。このたび、大企業向け製品を「TeamSpirit EX」としてリブランディングしたのですが、おかげさまで基幹システムの更新時期を迎えた大企業から多くの引き合いをいただいています。