多様な働き方でイノベーションを起こし、会社も個人も持続的に成長する
荻島 働き方改革において、御社の現時点での課題は何ですか。
竹内 工場を除いて現在、在宅勤務率は7〜8割になっているのですが、在宅勤務のほうが生産性が上がる業務もあれば、オフィスのほうが活性化する業務もあることがわかりました。また、オンラインミーティング需要など、オフィスにおけるニーズも変化してきています。アフターコロナに向けて、いわゆるABW(Activity Based Working、時間と場所を自由に選択して働くこと)の考え方に基づいて、オフィスのあり方をどう再設計していくかが当面の課題ですね。
荻島 弊社は会社設立の2011年に東日本大震災が起こったため、その年から週1回の在宅勤務を始めました。電話応対などで業務が中断されることがなく、在宅勤務で生産性が上がることはわかっていましたので、コロナ下では在宅勤務を中心とし、出社は週1回にとどめています。
ただ、在宅勤務だと効率がよくても、チームとして新しい考えを出しあったりすることができないので、創造性が薄れるのではないかという不安があります。社員はまじめなので、在宅だと仕事をやりすぎてしまう傾向があり、健康面も心配です。ですから、遊びに来るような感覚で、気軽に出社してほしいと言っています。創造性の発揮には、一見無駄に見える時間も必要だと思います。
竹内 当社もまったく同じ問題意識があります。やはり、お互い場所と時間を共有しながらコミュニケーションしないと、クリエイティブなものが生まれにくいですし、オフィスでみんなと一緒に働きたいというニーズもあります。
そうした一人ひとりの多様なニーズに応えて、個人が自律、自走できる仕組みをどう整えていくかも、当社の課題です。
荻島 最後にうかがいますが、御社の働き方改革のゴールはどこにありますか。
竹内 当社は2025年のありたい姿を、「食を通じて社会課題の解決に取り組み、持続的に成長できる強い企業」と定めています。多様な人々が多様な働き方をしながら、生産性を上げ、イノベーションを起こし、会社も個人も持続的に成長できるのがゴールです。そのために組織として、イノベーションのための連携や「組み合わせ」の場と時間をどうつくるかですね。
荻島 私も、TeamSpiritをイノベーション創造のためのプラットフォームに進化させたいと考えています。
将来的には、TeamSpiritに先ほど申し上げたOKRに基づく行動変革を促す機能や、タレントマネジメントの機能を追加し、生産性を高めるだけでなくイノベーションの創造に使った時間を可視化できる世界初のツールにするという構想を実現させたいと思っています。
竹内 当社の働き方の改革はもともと業務改革、生産性向上を目的としてスタートしましたが、それを生き方改革、価値創造のプラットフォームという位置づけに進化させようとしています。そのプラットフォーム上で多様な人が、多様な働き方でつながり、働きやすさ、働きがいを包含しながら、イノベーションを生み出していく。そうしたゴールを目指していきたいと考えています。
荻島 御社のように、イノベーションを目指して、勇気を持って創造性のための時間をつくっていくことが、多くの企業に求められています。私たちはこれからも、そうした企業のみなさんのチャレンジを微力ながらサポートしていきたいと思っています。
